三日月句会

俳句のこと。句会のこと。一考さんのこと。

クリスマス

昨晩更新しようと思ったら、パソコンが固まってしまった。

というわけで、やや乗り遅れた感はあるが、一考さんのクリスマス関連の句を探してみた。
少ない。
句集に採録されたのは一句のみ。

街なかに降誕祭の没日あり

『貌鳥』より 平成元年。

古のヨーロッパでは夜が一日の始まりであったことを思うと、街なかの喧騒に落ちる日にも、なにか常ならぬ厳粛さというか、格別の意が働く雰囲気がよく出ていると思う。光は闇の中に生れる。
視点を「街なか」の方に向けると、慌ただしい年末のひと時、思い思いに過す人々の姿が思われる。
人間に向けられた視線に温かさがある。

以下は「人」誌上で発表された句。

闇の中沼を遺して降誕祭(S53)
クリスマス辺に囲はれ角砂糖(S55)
日が差して聖樹の燭の点滅す(S63)
早や聖樹営林署材堆積す(H5)
降誕祭電線剝けば銅(あか)の出て(H7)
冷蔵庫開ければ灯る降誕祭(H8)
肉饅を割つて聖夜の湯気ほのと(H9)

一句目、「人」創刊前夜というタイミングを考えると、深読みしそうではある。
なんとなく、世間的な捉え方などしてやるものかという雰囲気を感じるが、作者の中で確固としたイメージが出来ていないような気もする。
でもクリスマス自体を否定しているわけではない。
すでに日本でも一大イベントとなったクリスマスの空気の中に身を置いて、自分を見回しているような佇まいがある。

写真は今年のクリスマス、函館の巨大ツリー。
「久し振りの海辺」と、父からメールで送られてきた。
期間が終わるとあっさり撤去される。
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