三日月句会

俳句のこと。句会のこと。一考さんのこと。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

さくら来て死は旧暦の思ひかな 真っ先に連想するのは西行である。それだけでも納得してしまう説得力がある。 その一方で、「さくら来て」とは具体的に読もうとすると色々な見方が出来る。 「さくら」と「来て」との間には、読む場合に助詞が補われる。「の(…

辛夷

槍飛んで来さうな辛夷朝の空 花こぶし遊女の数をたづねしが 絶巓の風のこぶしとして消えむ もうひとり辛夷の家の卵買ふ 遠浅の波が鞍替へ辛夷咲く 3月17日は進藤一考の命日。今年で19年になる。 葬儀からの帰途、電車の窓から見事に満開の辛夷の樹が連なって…

啓蟄

啓蟄の屋根踏みしめて瓦職 進藤一考 第六句集「白昼」より。 「瓦職」が踏みしめているのはやはり瓦屋根だろう。足は地下足袋だろうか。 作者の家が瓦葺だったかどうかは知らないが、実際の景を見ているというよりは、作者は家の中に居て、職人が屋根の上を…