創刊号 主宰作品
あけましておめでとうございます。
俳誌「人」は創刊時の精神に立ち戻るべく、その当時の表紙を昨年から採用しています。
私個人としても、もう一度進藤一考の俳句を読み直し、句に対する厳しさや孤独への志向を見つめようと思っています。
この場で何が出来るか考えていましたが、やはり進藤一考が培った世界をお見せすることが大切だと思いました。
年はじめに、創刊号の進藤一考の作品をご紹介いたします。
「斧のごとく」はそのまま一考の第一句集の題にもなっています。
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昭和五十四年 一月号(創刊号)
斧のごとく
桜島赫き刻満ち鰤来るか
網打ちしごとく冬木の先の先
人通り芒のひかり放たるる
山茶花やぬきさしならぬ家の影
焚くための籾殻の山日当れる
海苔のいろ渚を搏ちし神の旅
咳が咳そそのかしゐる熊襲穴
短日や斧のごとくに噴煙は
力瘤どこにもなかり鶴の来る
堆き海の寒さに肩をとむ
火山灰(よな)降るも船先定む冬岬
雀降り火山灰の影降り冬の靄
大喰ひしてねむりたき冬夜かな
狂ひたきこと雪が来る濤が来る
笹鳴きや潮の向きに箸二条
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進藤一考49歳。
自分もこんなことしてる場合じゃないなと痛切に思います。
何よりも句を第一に。
本年もよろしくお願いいたします。