三日月句会

俳句のこと。句会のこと。一考さんのこと。

菊冷えと思ひをりしが紅葉冷え

菊冷えと思ひをりしが紅葉冷え   一考

私事だが、11月の函館句会に「菊日和」の句を出したら無点だった。
「季感がピンと来なかった」という。

東京では菊花展も開催され、晩秋から初冬の、本当に良い季節。
函館では雪も降りはじめ、最低気温は氷点下になる。
現在函館に帰省中だが、周囲の菊はこんな感じ↓


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 冒頭の句は東北での旅詠。晩秋の晴天の中、作者は念頭に菊の空気感を置きながら歩いている。だが目の前に広がったのは紅葉の色彩だった。
 北日本では冷え込みが厳しいために紅葉が鮮やかだ。周囲の枯色と相俟って、一層目に焼き付く色合いである。それを目にした瞬間に作者は関東とは違う季節の感覚を新たにし、旅にあるわが身を思う。

同時期の東北詠。

 遠野 六句

早池峯や風にもみぢのいろを聴く
落林檎座敷わらしの遊ぶかな
河童淵喉の渇きはとろろかな
曲り屋の水車や枯野引き出す
夜咄や籠に葉生姜あるばかり
蘆抜いてみしが遠野の曇りかな

こんな句もあって、思いを馳せている。

橅紅葉齢が先を歩きけり

まだどこかを歩いていそうである。