三日月句会

俳句のこと。句会のこと。一考さんのこと。

11月号 人作品抄

同人以上の作品抄。佐藤麻績選。

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<主宰による鑑賞>

  子どもばかりだつた八月十五日  藤井 綸

 昭和二十年八月十五日に何歳だったかによって終戦のその日の印象はさまざまであろう。終戦を確かに受け止められたのは、玉音放送が大きく影響したとも思うが、私などにはすべて判然としないままであった。唯、大人達がうつろで、根拠のない噂話をあれこれ喋っていて、不安そうだったことは覚えている。
 作者は当時小学校高学年だったと思うが、当時は小学校も高学年となると確実な考えを持って行動することが出来たようだった。
 うつろで判断力の失せた大人が、呆然としていた中で、戦争が終わったことを最も喜んでいたのは子どもだったのだと思う。大人の言うことの頼りなさにも気づいていたのではなかろうか。即ちその時点で一番生き生きしていたのは、子どもだったのだろう。子どもだけが存在していたとの印象は実感であろう。